企業家タイプ診断
キミはどの企業家と似ているかな?
概要&背景
クイズ形式の診断アプリです。
2017年11月16日から2018年1月31日まで、大阪企業家ミュージアム(大阪商工会議所地下1階)にて期間限定で稼働していました。 このミュージアムでは、江崎グリコの江崎利一、ダイワハウスの石橋伸夫など、100人を超えるの日本の企業家の生涯や貢献を展示しています。 来場者は、いくつかのクイズに答えると、自分がどんな企業家と似た性格なのかがわかります。
プレス
- 日本経済新聞
- 日経 × TECH Active
- 読売新聞、産経新聞、大阪日日新聞(2017年11月16日)
- 日刊工業新聞(2017年12月20日)
遊び方
遊び方はすごく簡単。
1. クイズに答える
30程度のクイズの中から、ランダムにいくつか問題が出されるので、答えていきます。 (本当は自分自身の回答も書き込めるのですが!1)
(例)
他にもこんな質問があります:
- 「キミの開発した商品、なかなか注文がとれない!キミならどうする?」
- 「会社に入ったものの、思っていた仕事とは違っていた。キミならどうする?」
- 「お店で商売に励みお金をいっぱいもらいました。キミならどうする?」
- 「起業を目指しているキミ、経験を積むため海外で働きたいと思っている。しかし両親は反対している。キミならどうする?」
2. 診断結果が出る
答えて、「診断」ボタンを押すと、、
(例)
こんなかんじです。おわり。
どんな企業家が出てくるのか
診断結果として出てくるのは、上の8人です2。左上から順に、
江崎 利一 (江崎グリコ)
石橋 信夫 (大和ハウス工業)
上山 英一郎 (大日本除虫菊)
鳥井 信治郎 (サントリー)
早川 徳次 (シャープ)
岩谷 直治 (岩谷産業)
久保田 権四郎 (クボタ)
佐伯 勇 (近畿日本鉄道)
です。
どういう”診断”なのか
人の性格の分類をし、それを診断としています。 通常、診断とか占いとかは、あらかじめ決められた(”あみだくじ”的な)ルールがあって、その上をユーザーが辿るという仕組みです。 ここでも、とりあえずは何人かの企業家の伝記に基づいて、ベースとなる診断ルールが構築されます。 しかしポイントは、資料ベースの一方的なルールではなくて、多くの来場者の回答傾向も取り込んでいき、それらを総合してルールを再構築していくことです。
こうして、より一般的に、人の性格がどのように分類されるかが見えてきます。 実際に、伝記からははっきりしなかった診断ルールが出現したり、元々の診断ルールの一部が消滅したりしました。 では実際にどんな人がどんな企業家タイプなのかというと、、、
ヒミツです3。
気になる人は、この診断アプリが常設されたとき(未定ですが)、実際に遊んでみてください。
[付録] アプリの中身など、細かいこと
診断方法(計算)
各クイズの回答には、それが”どのタイプに属している回答か”が確率分布として付与されています。 来場者がいくつかのクイズに答えたら、それらに付随している確率分布のもとで各タイプの事後確率を(近似的に)計算し、最も確率が高いタイプを、診断結果として返します4。
元データ
- 企業家ミュージアムから刊行されている、8人の企業家に関する伝記漫画 2があります。そこに載っている「こんなとき、キミならどうする?」というクイズをベースにしています。漫画には、実際にその企業家がとった選択が載っています(これを以下”資料データ”と呼びます)。
各回答に付与される確率分布
- 最初のうちは、資料データを基に、尤もらしい企業家タイプが出てくるようにします。この資料データは、いわゆる教師データではなく、企業家タイプというカテゴリーを与えるための(事前)データです。
- ある程度来場者からのデータが集まったら、来場者からのデータと資料データを合わせたデータセットでクラスタリング(教師なし学習)を行い、各クイズの回答に付随する、タイプの確率分布を更新します。 このようにして、来場者の選択傾向を反映した「人の性格」分類(診断)がなされます。
実証実験としての要素
今回、エッジに3(+1)種類のラベルがついた、しかも検出限界ぎりぎりくらいかもしれないグラフの分割を行いました。 そんな多種ラベルのグラフ分割が、実データでまともにできるのか(正直できないかもと思っていました)というところが、技術的な検証ポイントでした。 また、現バージョンも十分単純ですが、企画当初はもっと愚直なアイディアで、それに比べると地味にいくつか実装上の工夫が込められています。
実施・解析手法
- Data collection:ShikiSci (yellow)
- Framework:Labeled stochastic blockmodelによるベイズ推論
- Algorithm: EM algorithm + Belief Propagation + Cross-validation
その他
- このプロジェクトは、産業技術総合研究所 AIリビングラボコンソーシアムでの実証実験として、大阪商工会議所の協力を得て実施されました。